夢みる権利(後篇)
ボール支配率とシュート本数で圧倒的な差をつけられながらも一撃必殺のカウンターで試合を制す。“数撃ちゃ当たる”スタイルからの脱却、つまりは決定力の差で勝つというあまり馴染みのない展開で勝利を収めたのがこの日の東京。1点目、右方から石川直宏が左足で上げたクロスを頭でファーに流す、鹿島戦と似ているようで対称的なゴール。ファーストチャンスをものにした鳥人。シュートを放つ空中姿勢の美しさと、直後に披露されたダンスの愛らしさ、いずれもカボレの魅力。
“エメカボ”ならぬ“ナオカボ”だって相性の良さでは負けてないかもしれない。前述の鹿島戦だけでなく、磐田戦で石川が決めた「実質」2ゴールはいずれもカボレの同じようなグラウンダーから生まれた。遡ると新潟で記録した初ゴールも石川の強力なミドルをGKがファンブルした“おコボレ”を頂戴したものだった。そのカボレ、速い&高いだけでなくこの日は随所で巧さもみせた。極めつけが前半41分、右足のアウトサイドでスピンをかけた『フランサみたいな』縦パスだった。
魔法使いの悪戯。ガンバDFラインの裏に落とされたボールは飛び出してきたGKから逃げるように緩やかな時計回りの弧を描く。そこへ走り込む背番号18…思わずオオッと首を伸ばす。しかし次の瞬間、僕たちの目に飛び込んできたのは曇天を仰ぐ石川の姿だった。ヒュンッ!限界まで伸ばされた首が脱力感とともに収縮する。ゴール裏のいたるところからヒュンヒュンという音が聞こえてきた。これが決まっていたらそれだけで『ごはん何杯もいけちゃう』芸術品だったのだが…残念。
誰よりも悔しかったであろうナオ本人が早々に鬱憤を晴らす。2点目、後半0分の秒殺。長友佑都が自画自賛したとされる“結果的に”ロングスローへただひとり反応してゴール左隅に。これで往々にして危険な点差と表される2点差となった…もとより重々承知。かつて2対0から2対6にひっくり返す(返される)という漫画以上に漫画じみた逆転劇が展開されたのが他ならぬこのカードだったのだから。スコア速報を追いながら携帯が故障したとしか思えなかった記憶が不意に蘇る。
経験に基づく恐怖。身震いしてしまったのは寒さのせいだけではなかったはず…リードしていてもまったく気持ちが落ちつかないのだ。決して平等とは思えぬ主審の裁定もそんな焦燥感を助長させる。まるで技術発展途上の太陽電池で動いているかのように、吉田寿光氏には“誤動作”が散見された。もっとも「ジャーンのレッド」以来、僕たちを散々苦しませておきながら最後に悦びを与えてくれる事の多い氏に対しては、少々Mの色が混じった相性の良さを感じているのも事実である。
左のカボレに右の石川。3トップの両端から放たれた矢がガンバに突き刺さった。残されたFWひとり、とどめを刺すには理想の人選。そんなにうまく話は進まな…いやはや進んでしまったのである。厳しく評価すると1点目、2点目は相手DFのマークが弛んだ隙を逃さなかった結果(もちろんそれをキッチリ決めた両名は素晴らしい)。その観点で3点目は周辺環境に依存する事なく独力で強引にこじ開けた、まさに「ザ・ストライカー」なゴールだったといえるのではないだろうか。
攻守分業は過去の遺物。世界的な潮流として絶対的な9番が姿を消しつつある昨今、特にこの国ではフィジカルの差を埋めるためにスピードが重視される傾向が強い。FWを生業とするプレイヤーたちはこぞって剃刀(カミソリ)に磨きをかけ、抜きん出た切れ味をアピールせんと懸命になっている。しかしその多くは扱いやすいが髭しか剃れぬ安全剃刀だったりする…まさに日本サッカーが抱える《シック》だ。ところがこんなご時世、流行り廃りに目を向けず黙々と屶を磨ぐ男がいる。
屶。山の刀と書いて「なた」と読む。
※「後篇」なのにto be continued...
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2008年11月13日付
現在の青赤指数=67(→)
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■■■■■■■■■■20絶望
■■■■■■■■■■30暗鬱
■■■■■■■■■■40不安
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■■■■■■■■■■60希望
■■■■■■■□□□70幸福
□□□□□□□□□□80歓喜
□□□□□□□□□□90熱狂
□□□□□□□□□□99絶頂
◎ルーカス、アジアに咲く。
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コメント
今回、一緒に観戦した友人は京都生まれの京都育ちなのに、サンガサポではなく東京サポで今ちゃんファンの子とその弟さんとナオファンの女の子(その子も京都生まれ京都育ち)と観てました。(彼女達は京都支部所属ということで)
彼女達は去年の万博の惨劇を体験してるので、1点取っても「安心できない」。2点目も「まだ怖い」と。
3点目でようやく余裕が出てきたようです。
平山のゴールの時のゴール裏の一体感はすごかったですよ。
ナオファンの女の子はナオゴールの時、放心状態になってました。女の子のハートまでゴールを決めてしまう、ナオは憎い奴だな。
「万博での勝利の味忘れてたわ。」と彼女達は話していました。4年ぶりの勝利と去年の惨劇経験者の言葉に重みがありました。
投稿: 北陸支部長 | 2008年11月13日 (木) 20時20分
はじめまして
いつも楽しく読んでます。
で、で、続き早く読みたいよ~~
投稿: | 2008年11月13日 (木) 21時19分
去年のガンバ戦(万博)の時、主人の親友(ガンバファン)が万博で観戦中に(後半)「お宅のディフェンスざるやなぁ〜」と電話
して来たのです…本当に凹みました(涙)
前半と同じチームとは思えない後半…サッカーの怖さをまざまざと見せつけられた試合でしたね
そんな試合を生で観戦した北陸支部長さまのお友達が慎重になるのが痛い程わかります(涙)
気が弱い私は、今回お返しの電話
投稿: ふくろうママ | 2008年11月13日 (木) 23時55分
名無し様
コメントありがとうございます。で、で、続き早く書きたいよ〜〜(笑)なのですが、長友佑都のA代表初ゴールシーンを何度も見返して眠くなったので、もう寝ます。
いつものツートップ様
というわけでおやすみなさい(笑)。
投稿: NFBD | 2008年11月14日 (金) 00時22分