瘡蓋

「優秀なタレントは揃っている(のだが)」もはや聞き飽きてしまった寸評。北京・ロンドン・リオデジャネイロと、3大会続けての「五輪代表の10番」が所属している(のだが)という状況は、このクラブを語るにあたり象徴的な状況といえようか(ブラジルに置き換えるとロナウジーニョ・オスカル・ネイマールが一緒にプレーしていることになる)。荒んだ心で自虐的に「のだが三銃士」と命名した逸材トリオの一角が、重い扉を開けた。

ムリキが弾かれた、前田遼一が防がれた。生みの苦しみを表現するかのように迷走した球体を、東慶悟がゴールに突き刺した。待望の先制点。渇望する勝利への必要最低条件が整ったものの、気持ちは落ち着かないまま。繰り返された試合終盤の惨劇で負った傷が癒えるにはあまりに時間が不足していた。篠田善之新監督の采配は戦場における救護活動のようだった。傷口が開かぬよう慎重に。羽生直剛が絆創膏なら、吉本一謙は包帯だったか。

手負いの首都クラブが久々の勝利を収めた直後、両手を広げて仲間を呼び込む篠田監督の姿がテレビに映し出された。チームスタッフとビブスを着用した選手たちが作った輪、その輪へ画面の外からムリキが飛び込んでくるという絵柄。いつもならば画面の中に入り込んで喜びを分かち合いたいと思うところだが、この日は少し離れたところからその光景を眺めていたい気持ちになった。失意と葛藤の日々を過ごした当事者たちの姿を、神妙に。

傷口の痛みも痒みも消え去ったわけではないが、焦りは禁物だ。
不快な被膜を無理に剥がそうとせず、少しずつ癒やしていこう。

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